2023/12/31 「世の支配者に不安を抱かせるクリスマス」マタイによる福音書2:1~12牧師 古屋 治雄 

◇聖書全体を貫く重要な思想に「契約」がある。それは神様の本性であり、教会とキリスト者の基である。さらに神様と被造世界全体との関係を表すともいえる。それは神様から一方的に与えられる贈り物であり、我々に使命を与えるものである。それは永遠に変更されない。今日の御言葉はザカリヤの賛歌である。神様は闇の中に光を遣わされた。その根拠は、突然のひらめきなどではなく、神様が契約を覚えていてくださったことによる。 

◇まず覚えたいのはノアに与えられた契約である。神様は、被造世界が罪に満ちていることを嘆かれ、ノアとその家族、限られた被造物を除いて一切を洗い流された。しかしその後、二度と被造物を滅ぼすことをしないと決意され、契約を思い起こす徴として虹を立てられた。これはすべてのものが覚えられ支えられていることを表す全世界のための契約である。 

◇アブラハムは、神様の命令により新しい歩みを始める。そして神様は、アブラハムを通して全人類を祝福なさることを示された。その契約締結の様子が創世記15章に描かれている。これは、契約について人間ではなく、神様が全責任を負われることを表す。さらに創世記24章では神様とモーセとの契約締結に際して、動物犠牲の血が祭壇と民全体に半分ずつ注がれている。これは神と民との双方に義務が生じることを表す

◇神様がイスラエルを神の民として選ばれたのは、彼らが優れていたからではない。ここに小さな貧しい者に向けられる神の愛が表れている。だがその愛は、人間の度重なる離反によって破られる。しかしエレミヤは、神様が人類と、今までにはない、全く新しい契約を結ばれる、と預言する(31章)。その預言はイエス・キリストの誕生のできごととして成就する。私たちの世はなお、闇のようである。だが神様は契約を覚えて世界を守られ、支えておられる。人間には、神様を見上げて、真の人間として生きる使命が与えられている。そのことを覚えて2024年を歩んで行こう。