2022/05/15 「成長させてくださるのは神」コリントの信徒への手紙一3:1~9 牧師 古屋 治雄

コリントの信徒への手紙一3:1~9
牧師 古屋 治雄

◇イエス様が伝道された地方は自然が厳しく、 種をまいても農夫の十分な世話がなければ、成 長し、実を結ぶことはできない。豊かな実りを 受けとるためには、植える、水をそそぐ、そう した作業が欠かせない。しかし聖書が語るのは 人間のわざが意味をもつ、ということではな い。そうしたことを越えて、神様が成長させて くださるのである。

◇今日の箇所でパウロは、1章で指摘した教会 内の党派争いのことを再び持ち出す。彼が「固 く結び合いなさい」と言えば、コリント教会の 人々は「そんなことはわかっている」と言うだ ろう。彼らは福音によって新たにされたはずだ が、そうはなっていない。キリストの十字架と いう、人間を救う神の知恵を、人間の知恵の延 長線上で捉えようとし、へりくだって受け入れ ようとはしていないのである。 ◇党派争いは実は、認められたい、評価された いと思って自分の立場を主張する人間の問題 なのである。そしてその思いは、私たちが教会 の働きを担うときにも入り込む恐れがある。そ のような時に私たちが確認しなければならな いのは、「この群れを成長させてくださる神様 の力の中に私たちが招かれている」ことであ る。それぞれの働きが意味を持つためには、私 たちが主によって一つとされ、そのわざを主が 受け取ってくださらなければならないのであ る。

◇種の成長は、私たちにとってなお神秘であ る。神様が与えてくださる成長について2つの ことを心に留めたい。(1)神様は、成長を望む べくもない、全く期待できないと私たちが思う ところに、新しいことを始めてくださり、新し いめばえを与えてくださり、想像だにできなか った成長を与えてくださること。(2)神様が与 えてくださる成長は、並外れて大きな実りをも たらすこと。からし種の譬え(マタイ 13:31 他)、種を蒔く人の譬え(マルコ 4:3 他)にある ように、神様は私たちの想像を超えて莫大な実 りを与えてくださるのである。こうした神様の 力にあずかり、「神のために力を合わせて働く 者」とされていることを覚えて、100 周年への 歩みを進めよう。