礼拝説教


2021/11/21

「裁判の証言が信仰の証しに」

使徒言行録26:12〜23
牧師 古屋 治雄


◇今日の聖書箇所では使徒パウロがエルサレムからカイサリアに囚人として移送され、アグリッパ王の前で、またローマ総督フェストゥスの前で弁明している場面が伝えられている。ここに、教会の迫害者であったパウロが如何にして全く反対の立場の教会の伝道者、福音宣教者、使徒とされたか、その三回目の証言が語られている。その特色は、同行していた者たちが皆「太陽より明るく輝」く天からの光に照らされて倒れてしまったこと、復活のイエスご自身がパウロに出会ってくださり、すぐに主の復活の証人となって派遣されることが使命として託されたことである。

◇イエスの御降誕とパウロの回心に共通の言葉ある。パウロの回心では、「闇から光に」と神様によって新しい光がもたらされていることであり、神様の救いに生きることを光の中に生きることだと語っている。23節では、ユダヤ人にも異邦人にも神様の光が注がれていること、その神様の光を語り告げることがパウロの奉仕者、証人としての役割であると結んでいる。

◇私たちが待望する御子の御降誕クリスマスでも、野にいた羊飼いが恐れる中、神様の「光が注がれて」御子がお生まれになった。パウロはローマの信徒への手紙1:2〜4で、クリスマスのことと復活のことがセットになって福音の中心であることを告げている。私たちは神様の光に照らし出されて闇の中に生きていることが明らかにされ、罪赦され、神様の光の中へ移され、新たに生かされていることが起こっている。復活の主が私たちの思いを越えて、そのように私たちを変えてくださっているのである。

◇裁判の判決はうやむやになっている。はっきりしているのはパウロが移送されることによって、その証言が神様の証しとしてローマへ持ち運ばれて行くことである。パウロはローマへ移送されて裁かれることを異邦人伝道に用いられることと捉え、喜んで神様の導きに身を委ねている。福音の光に多くの人が与れるようにと私たちも託されている。クリスマスの光を沢山浴びて、この光をかざし、多くの人とその中を歩もう。

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