礼拝説教


2021/8/22—聖霊降臨節第14主日礼拝—

「危機と知りつつ進む道」

使徒言行録21:7〜16
牧師 古屋 治雄


◇使徒言行録は以前は使徒行伝あるいは聖霊行伝と言われてきた。教会を担った人々はいつも力強い聖霊の導きに促されて、いろいろな役割を与えられ、イエス様の力づけと約束に従って初代教会の歴史を築いていった。

◇パウロたちのこの第3回目の伝道旅行はエルサレムへ到達することで終結しようとしている。パウロは異邦人伝道に従事してきたが、行く先々で必ずと言って良いほどユダヤ人の会堂をまず訪れ、イエス・キリストが十字架で死なれ、三日目に復活されたこと、この出来事はユダヤ人だけの救いの出来事ではなく、世界史的な出来事であることを語り続けてきた。

◇エルサレム教会は他のどの教会よりもユダヤ的な伝統の中で生活しているため、律法に規定されている割礼や食物規定に関わることでパウロが指導する異邦人教会との間で対立が起こったことが伝えられている。そのような中多くのユダヤ教徒の中で少数派としてキリストの福音に依ってたち苦闘しているエルサレム教会へ、パウロはどうしても異邦人教会からの献金を携えて行かなければならないという強い意志を持っていた。

◇4節ではティルスの教会の人々に聖霊が働いてパウロにエルサレムに行かないでくださいと言わせているし、11節ではカイサリアでアガポという預言者を通して聖霊がエルサレムでのパウロの受難を告げている。しかし、20章22節ではパウロは聖霊によりエルサレム行きを促されている。私たちは聖霊の導きを信じているが、その受け止め方は皆に同じように展開されるのではない。

◇このようなとき、私たちは祈る「“霊”によるあらゆる知恵と理解によって、神の御心を十分悟り、すへ?ての点て?主に喜は?れるように主に従って歩み、あらゆる善い業を行って実を結ひ?、神をますます深く知るように」(コロサイ1:9-10)と。今日においてもいろいろな計画に対する意見の違いを越えて、私たちは聖霊の導きによって教会を担う者とされている。コロナの状況下で、かつ百周年を迎えようとしている私たちは、聖霊を求めつつ歩んで行くことが求められている。

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