礼拝説教


2021/8/1—平和聖日礼拝-

「巡り歩き励ます原動力とは」

使徒言行録20:1〜12
牧師 古屋 治雄


◇ルカが伝えるパウロの第3回目の伝道旅行はエフェソを出発してマケドニアからギリシアへ向かい、第2回伝道旅行で生まれたフィリピ、テサロニケ、コリントの各教会を再び訪れて励まし、コリント教会に3カ月滞在した。

◇パウロはエルサレム教会のことを福音の原点として尊重していたので、エルサレム教会を訪れ、さらにはローマに早く向かいたいと考えていたが、思ったようには計画は進まなかった。しかし、エフェソに滞在した紀元53年からエルサレムに到着する紀元56年の間、パウロはパウロが記した手紙として知られているたくさんの手紙を諸教会に宛てて書いた。この3年の間、パウロは伝道を展開してきたすべての教会のことを視野に入れ、伝道活動を展開してきていることをパウロ自身の手紙から知ることができる。

◇2節に「この地方を巡り歩き、言葉を尽くして人々を励まし」とあるが、この「励ました」という言葉は「パラカレオ」という「傍らに呼んで声をかける」という意味の言葉である。この言葉にパウロの伝道者としての基本姿勢が示されている。また、4節以下にはパウロと共に伝道活動に当たっている人々が丁寧に挙げられており、それぞれの場所に関係を持った同労者を遣わしていることが判る。伝道は人と人との繋がりの中からなされるものであり、教会の維持発展もやはりその基盤には人格的繋がりが欠かせないことを知らされる。

◇7節以下にトロアスでの主日礼拝の出来事が伝えられている。パウロの長い説教の途中で青年が三階から落下し、パウロがその青年を助けた。人々はパウロの話を聞いたことと青年が助けられたことが相俟って慰めを受けたことが報告されている。「慰められた」という言葉も「パラカレオ」という言葉である。パウロは伝道の原動力としてイエス・キリストの福音をはっきり示され、そこから人々を「励まし」「慰める」力をいただいた。

◇コロナ禍で相互に傍らに呼んで呼ばれて励まし合うことが困難な時だが、イエス・キリストが私たちの内に働いてくださり、励まし合い、慰め合うことができる。この平和の福音の力に与り歩んでいきたい。

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