礼拝説教


2021/6/13

「広い視野を育む主の教会」

使徒言行録18:12〜23
牧師 古屋 治雄

◇パウロの第2回伝道旅行も終わりを告げようとしている。この旅を振り返ると、パウロは一人ではなかった。さまざまな人との出会いを、御言葉を介して造り出している。イタリアから逃れてきた天幕職人の夫婦、アキラとプリスキラに神の導きによって出会う。別行動をとっていたシラスやテモテと合流することで、パウロは福音を語ることに専念できた。ティティオ・ユスト、クリスポ、ソステネは福音を受け止め、ユダヤ教から改宗した人々である。ユダヤ人からの迫害は止まないが、ユダヤ的背景を持つ人たちの中にも福音を受け止め、イエス様が歴史を完成してくださると信じる人が増えている。一方で異邦人も教会に結ばれている。これらの人々が共にコリント教会の構成員なのである。

◇パウロはエルサレムへと急ぐ。ここまでの経緯からすれば、ユダヤ人への伝道はエルサレム教会、異邦人伝道はパウロたち、と棲み分けてきたように見える。しかしパウロの視点は異なる。ユダヤの歴史のただ中にイエス・キリストが来られたという福音が、今やすべての人へと広がっている。それをエルサレム教会にも知らせたい。その思いで彼はエルサレムを目指す。この後献金集めに奔走するのも大切なエルサレム教会のためである。一方、エフェソの教会の伝道発展のためにはアキラとプリスキラを残す。パウロにはこうした複合的立体的な伝道戦略がある。

◇現在の私たちには出かけること、他者に接することが少なくなっている。しかし困難の中にも出会い、交わりがある。福音の喜びを分かち合う兄弟姉妹が与えられている。福音は地域的・時間的に広がっていく。やがて福音が、神様の救いが全世界を覆う。イエス・キリストが再び到来して教会の伝道の時代は終わる。イエス様がそのことを約束してくださっている。そういう広い視野の中で私たちは福音に生かされている。

◇福音に突き動かされてパウロはもう、3回目の伝道旅行に旅立とうとしている。そしてその同じ福音が私たちにも教会にも確かに与えられている。その福音に励まされて新たに歩み出そう。

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