礼拝説教


2021/6/6

「この町には私の民が大勢いる」

使徒言行録18:1〜11
牧師 古屋 治雄

◇コロナのことで心配な状況が続いているが、私たちにとって主日礼拝が命の原動力となって一週を歩み抜く力が与えられている。また、この礼拝は新しい人々にも開かれている伝道礼拝でもあり、私たちが社会と向かい合う方向を考えるときである。

◇今日の聖書では、パウロたちがアテネでの伝道を終えてコリントへ向かった。そして、コリントでのパウロたちの伝道の仕方がこれまでの方法と違い、1年6ヶ月この地にとどまって人々に神の言葉を教えた。これまでの滞在が長期でなかったのは、背後にユダヤ人からの迫害に遭ったことが大きく影響しているが、それだけではない。

◇パウロはアキラ、プリスキラという夫婦に出会った。彼らの家に住み込んで、一緒に天幕造りをして生活を維持した。ユダヤのラビは教師として働く上で必ず生計を支える何らかの仕事を身につけていなければならないという規則があったようで、パウロはここにしっかりと生活の根を下ろして伝道していく方法をとった。

◇哲学の町であったアテネと違い、コリントは商人の町で、人口60万人ほどのアカイヤ州の州都であった。また、エーゲ海とイオニア海を結ぶ交通の要衝で、ゼウス神等を祭る神殿があり、様々な宗教が入り混じっていた。「コリント風に生きる」とは不道徳な生活を意味していた。このような世俗の中でパウロは自らの生活基盤を築き、同労者と協力し、ユダヤ人の迫害に遭いながらも地道な伝道を続けた。

◇この町で伝道を続けることは勇気を必要としたが、パウロは「恐れるな、語り続けよ。黙っているな。」という神の言葉に支えられて福音を語り続けた。また「この町には、わたしの民が大勢いるからだ。」との神様の御声をはっきり聞いた。「わたしの民」とは神様が選び分かたれた信仰に生きる者たちである。パウロ達の伝道、「語り続ける」働きによって「わたしの民」とされる人々がこの世俗の町コリントにも大勢いると神様は言われる。

◇私たちも信仰者としてこの世的なものから離れ、神の民の中に加えられようとしている人々が大勢いることを確信して、「証しの歩み」を歩み抜く者となりたい。

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