礼拝説教


2021/02/21

「責任を負うことと委ねること」

使徒言行録14:21〜28
牧師 古屋 治雄

◇パウロたちの第1回伝道旅行の経路を振り返ると、キプロス島、小アジアのアンティオキア、イコニオン、 リストラ、そしてデルベと旅してきた。そして21節では、これまでたどってきた道を全く逆戻りしようとし ているのである。地図を見てわかる通り、デルベからは陸路をシリアのアンティオキアに戻るほうが、来た道 を引き返すよりもはるかに近い。しかもこれまで通ってきた町々ではどこでも、激しい迫害を受けた。しかし パウロたちはそこに戻るのである。迫害を受けて追い出された町にもう一度立ち寄って、信仰生活に入った人 たちを力づける (22節)。生涯キリストの弟子として生きる光栄と喜びを語るだけでなく、信仰生活を貫くに は多くの苦しみを経なければならないこと、その責任と困難も同時に語るのである。このことを抜きにして信仰 生活を続けることはできない。

◇パウロは、私たちの信仰が教会共同体の中で育まれることも語る。長老を選んで断食して祈った(23節)。 共同体として信仰生活をしていくことが視野に入っている。教会では様々なことを皆で役割分担していかな ければならない。聖霊が力強く働き、教会の中に生き生きとした活動が生まれ、その活動が円滑にダイナミック になされていくようにパウロは長老たちを任命している。そして長老たちだけでなく教会の人々全体を主に任せ た、委ねたと語る(23節)。パウロは去っていくからこう言ったのではない。これらの長老たち全てを信頼し、 福音がそこに語られ、群れが生まれ、福音自身がそれらの人々の中に生きて教会を立てていく、そのことに信頼 しているのである。

◇伝道に困難がないわけではない。しかし私たちは神様の恵みに押し出され、支えられている。教会の主が私たち の伝道活動、教会の歴史に責任を持っていてくださる。だから私たちは相互に支え合うことができ、励まし合うこ とができ、共に主の栄光にあずかることができる。教会の働きも、私たちの信仰生活も、委ねるところから始まっ ているのである。新しい年度、聖霊に導かれた群れとして歩んでいきたい。

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