礼拝説教


2020/11/22-降誕前第7主日礼拝-

「権力にすり寄る者」

使徒言行録13:4〜12
牧師 古屋 治雄

◇今日の箇所からバルナバとパウロの第1回伝道旅行が開始され、二人はまずキプロス島へ渡った。伝道は聖霊の導きであり、またキプロス島はバルナバの故郷でもあった。

◇パウロ達の伝道は異邦人伝道と言われるが、ユダヤの人々を第一に視野に入れて、まずはユダヤ人の会堂へ行き、イエス・キリストによって示された新しい神の言葉を語った。つまりユダヤ教と同じ神様がユダヤの民の歴史の上に、イエス様の出来事という新しい啓示を与えられ、世界の歴史が推し進められたことを語り始めた。

◇二人は助手のヨハネを連れて島全体を巡りパフォスに行った。キプロスはローマの属州であり、そこには「賢明な人物」と報告されているセルギウス・パウルスという総督がいた。権威ある人は宗教をもって自分を絶対化しようとするが、この総督も魔術師バルイエスと親交を持っていた。

◇一つの社会に福音がもたらされるということは、そこに決定的な変化がもたらされるということである。魔術には神秘的な響きがあるが、権力者に取り入り、権力と歪んだ名声を手に入れようとする計算された合理性がある。これが魔術の正体であり、神様の信仰から全く反対のこととなる。魔術師はパウロによって激しい言葉で糾弾される。福音から語られた言葉である。旧約聖書を聖書としている私達の信仰の土台には、魔術的な力の正体を暴く真理の力がある。

◇総督パウルスの賢さはこの出来事を見て、何が本当の真実かを悟った。バルナバとパウロが語る福音には普遍的な真理がある。このことをパウルスは総督として受け止め、神様に喜ばれる偽政者となることを促され信仰に入った。

◇イエス・キリストが一つの社会に運び入れられ、様々な波紋をもって広がっていく。聖霊の働きによって起こった出来事の中に福音は生き続け、廃れない。今日、かなり多くの箇所に教会が立てられているが、福音に接していない人達がまだまだ大勢いる。私達も小さな働きであっても聖霊により福音が蒔かれると必ず実を結んでいくことを信じて進んでいきたい。

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