礼拝説教


2020/11/1-降誕前第8主日礼拝-

「わき腹をつつく天使」

使徒言行録12:1〜11
牧師 古屋 治雄

◇教会の伝道活動はいつも順調に成長してきたわけではない。特に初代教会をめぐっては2つの、反対向きの力が働いていたといえる。一方は、ペンテコステの出来事で聖霊を受けて、聖霊に導かれて、神様から注がれていた力である。この力によって福音は広がり、エルサレムだけでなく、アンティオキアにも有力な教会が誕生する。もう一方は、12章冒頭にある、使徒ヤコブが殺害された事件のように、キリスト者を迫害し、福音伝道を阻止しようとする力である。

◇迫害は8章にすでに報告されているが、12章ではさらにエスカレートし、使徒たちさえも命を狙われる事態になっていたのである。領主ヘロデ・アグリッパ1世はヤコブに続きペトロも、大勢のユダヤ人の前で公開処刑して人気を得ようとしていた。ペトロは鎖で繋がれ、監視も厳重である。どうにもならない絶体絶命の危機である。しかしその時、天使が現れる。鎖が外れ、衛兵所がやすやすと突破され、門が開く。この時、ペトロは夢遊病者のように天使に引かれていったわけではない。彼は天使の呼びかけに応えて目をさまし、立ち上がり、行動を起こしているのである。その導きに促されて、彼は再び、福音を担う者とされたのである。

◇教会が外からの圧力を受けることはある。現代の日本の私たちには目に見える形で迫害が及んでいるわけではない。しかし私たちにも縛りが働いている。例えばコロナの影響で伝道活動が委縮している状況は憂うべきである。この状況下でも福音伝道の情熱を失ってはならない。今日の聖書箇所は閉塞感の中にある私たちをワクワクさせ、解放する響きがある。神様は天使を遣わして我らを突き起こし、壁を一つひとつ突破し、光の中へと導いてくださる。

◇福音伝道を阻止しようとする諸々の力が働くときも熱い祈りを捧げよう。聖霊の力はペンテコステ以来、途切れたことはない。聖霊の嵐の支配を感じよう。私は神様に愛され、神様の導きに生きると確信できるできごとがそれぞれに備えられている。天使にわき腹をつつかれた者として、励ましあって生きよう。

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