礼拝説教


2020/09/06

「神は人を分け隔てなさらない」

使徒言行録10:34〜43
牧師 古屋 治雄


◇今日の個所の少し前、使徒言行録10:28でペトロはこう言う。「あなたがたもご存じのとおり、ユダヤ人が外国人と交際したり、外国人を訪問したりすることは、律法で禁じられています。」このことはユダヤ人の生活の現実であり、神の民としての立場を維持するために必要なことであった。しかし今日、世界中の、どこの国に住んでいても、どんな背景の人であっても、性別、社会的地位に関係なくイエス様を救い主として喜ぶことができるということは驚くべきことである。

◇今日の個所はペトロの第4の説教であり、異邦人に向けられたものである。ペトロはイエス様を紹介して、まず、悪魔に苦しむ人を癒されたこと(これは単に体の苦しみ、死からの解放ではなく、十字架と復活による死の克服の恵み、神の国のできごとの先取りである)、次に、私たちの罪(神に造られていながら、神に背く性質)を明らかにするために十字架に向かい殺されてしまったこと(ユダヤの指導者だけを悪者にすることはできない。彼らは人間の本性を代表している。つまり私もイエス様を殺した者の一人であることに注意)、第三に、神様がイエス様を復活させることによって人間の罪を意味なきものとされ、その結果としての死が最終的な力ではないことを明らかにされたのである。福音を知らなければ、人間は死を罪の結果の滅びと捉えざるを得ない。しかし死は神様の働きにより全く塗り替えられ、死は絶望ではなくなったのである。イエス様はそのことを世界中の死を恐れて生きる人に伝えよ、と命じられるのである。

◇神様は、ユダヤという特別な地の、特別な民に契約を与え、常にその民とかかわり、語りかけてこられ、そこにイエス様が生まれてくださった。ユダヤの民というしっかりしたスタート地点があるからこそ、普遍的な本当の真理が発揮されたのである。そして教会はその福音を担っている。私たちは祝福の源(土台)とされたのである。その上に築き上げられる大きな祝福の果実が備えられている。神様の祝福を受け止め、それをしっかりと伝える歩みをして行こう。

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