礼拝説教


2020/08/16ー聖霊降臨節第12主日礼拝ー

「イエスはこの時から新しい道に進まれた」

マタイによる福音書16:21〜27
神学生 川上敏雄


◇イエス様はガリラヤ地方で活動をされていました。多くの教えと、奇跡を示され、「神の国」を目に見える形で表して下さっていました。直前のマタイ16:13でイエス様は弟子たちに「私は誰か」と問われ、ペトロが最後に「あなたはメシア、生ける神の子です」という告白をします。それはイエス様の待望していた正しい答えでした。それまで、「神の国」の様子を語られていた働きから、イエス様は世を救い、人々を救う働きに、大きく方向を変えられるのです。

◇イエス様が「私は苦しみを受け、そして殺される」と受難予告を告げられたとき、ペトロは激しく抵抗し、イエス様を諫めます。ペトロのこの行為に同情を覚えるのは人間的誘惑です。メシア告白のイエス様に対する全幅の信頼はもはやなく、重大な受難予告を、否定しているのです。イエス様とペトロの間にどうしようもない断絶がありました。そのペトロをイエス様はサタンとまで呼び、厳しく戒められたのでした。そしてイエス様は「あなたは私の邪魔をする者」という言葉を続けられ、「ペトロよ、あなたは躓きの原因となっている」と叱られたのです。

◇どのように、人間的な心と優しさを持った言葉であっても、その背後の神様のご意志をうけとめようとしなければ、危険な言葉になります。イエス様はマタイ16:18でペトロを教会の基礎と呼ばれたのです。そして今、サタンと呼ばれ、躓きの石と呼ばれるのです。教会が、基本的な道をそれるとき、イエス様は自分に従うものになりなさいと言われます。

◇受難の告白をされた後、イエス様は地上での営みを大きく変えられ、一路イスラエルの都エルサレムへ向かわれるとことになりました。イエス様はこの後、私たちのために十字架にかかって下さり、弟子達でさえも正しく受け止めることができなかったこの私たちの弱い現実を、愛を持って担って下さり、復活されたのです。それにより私たちは、今日、生かされていることに感謝したいと思います。

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