2019/11/17—降誕前第6主日礼拝—

「寂しくない『別れ』」

使徒言行録１:１〜１１
牧師　古屋　治雄

◇使徒言行録の初めで、イエス様は４０日間にわたり弟子たちと共にいて下さり、いろいろ教え、自分が生きていることを示された。そして神の国についてお話になった、とある。弟子たちは神の恵みの御支配をイエス様の甦りの中に見、確信したことであろう。

◇「あなたの上に聖霊が下るとあなた方は力を受け、地の果てまで私の証人になる」とイエス様は言われた。最も大事なものは証人である。聖霊を受けるとあなた方は力を受けるとあり、聖霊を受けないでは本当のイエス様の証人とはなれない。

◇地上に生きるすべての人がイエス様を十字架に追いやったことを気づかせ、それにより私たち一人一人が神に裁かれるという思いを持つのである。それが悔い改めた者への神の赦しの宣言である。ここに希望があり、この地上全体の人々が神の赦しの中に、喜びの中に生きることが出来る。これこそ神の国の到来である。神さまの真の支配が始まり、イエス様の昇天の出来事となって示され、イエス様が共にいて下さる。はっきりと使命を担う者として使徒達もそれを知ることが出来た。だから、イエス様との別れは寂しい別れではなく、聖霊が下ることを待望する喜びとなった。

◇これにより地上のすべての教会の歴史が始まった。ここに使徒達の第二の召命が始まった。第一は初めてイエス様に従った時で、この第二の召命は甦りのイエス様と出会って罪が赦されたという確信である。そして、新しい使命を頂いたという畏れであった。神さまにすべてを委ね、これから教会の歴史を担い、イエス様の十字架と復活の証人となっていく者として立てられていくのである。この第二の召命の出来事が寂しさを払拭し、喜びで充たすのである。

◇今日、私たちは聖霊降臨日だけでなく、甦りのイエス様がどう働いて下さっているかを、十字架と復活のでき事のなかに本当の力が隠されていることを読み取り、聞き取ることが出来る。いつも共に居給う御霊を注いで下さる神の力に身を預け、与えられた日々を歩んで行きたい。

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