礼拝説教

2018/3/11

「飼い主のいない羊のような有様」  -受難節第四主日礼拝-

マルコによる福音書6:30〜44
  牧師 古屋 治雄 

◇五千人以上にパンをお与えになった奇跡が伝えられている出来事は、主イエスが伝道にお遣わしになった弟子たちを休ませてくださり、食事をすることができるように配慮してくださったことから始まりした。しかし主イエスの弟子たちへのご配慮は、一行が休み場所としたところに大勢の群衆が先回りをして来て、結局休み場所にはなりませんでした

◇主イエスはこの群衆をご覧になって「飼い主のいない羊のような有様を深く憐れみ、いろいろと教え始められ」(34節)ました。主イエスは、ここで神様ご自身が出エジプト以来のイスラエルの歴史の中で確かな羊飼いとしてイスラエルを導いてくださって今日に至っていることをお教えになったのではないでしょうか。

◇この場面は、初めに休息を必要としている弟子たちのことが取り上げられていました。しかしそのことよりも次に主イエスと弟子たちの前に集まって来た「飼い主のいない羊のような」群衆のことが取り上げられています。そしてその中心に主イエスがおられるのです。

◇主イエスは、群衆に配慮して解散させようとした弟子たちに「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」(37節)と言われました。弟子たちは(当然と言ってよいでしょう)この主イエスの言葉を受け入れることができませんでした。しかし主イエスは、弟子たちが自分たちでできる食料調達の可能性の発想を断ち「五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで賛美の祈りを唱え、パンを裂いて、弟子たちに渡しては配らせ」(41節)ました。

◇あの弟子たちが主に結ばれていたように今私たちは主の教会に結ばれ、生かされています。休みを必要とする時があり、困窮して動けないこともあります。しかしそのような私たちを主イエスは、飼い主のいない羊の群れのために神様の豊かな恵みを渡して配る者としてくださっています。弟子たちの食事は、群衆と共に与ることによって満たされました。ここに教会が与る恵みがあります。
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