礼拝説教

2017/12/24ー降誕祭礼拝ー

「この世界を誰が支配しているのか」

ルカによる福音書2:1〜7
  牧師 古屋 治雄 



◇ルカ福音書はクリスマスの出来事が起こった時を「皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た」(2:1)時代と示しています。また遡って一連のクリスマスにつながる出来事の始めを「ユダヤの王ヘロデの時代」と語っています。神の民は当時ローマ帝国と実質ヘロデ王の支配下にあったのです。

◇強大な権力の下に行われる人口調査のために生み月を迎えたこのヨセフとマリアは、ダビデの家系に属するということでナザレからベツレヘムへと旅をしなければなりませんでした。そのただ中で「マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせ」(6-7節)ました。「宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからで」(7節)す。クリスマスの出来事を担ったヨセフとマリアは大きな権力に翻弄され、その中で脇に追いやられ、弾き飛ばされた者のように見えてきます。

◇羊飼いたちにクリスマスが伝えられる出来事が続き、主の天使が「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」と告げました。「主メシア」と告げられていることに注目させられます。使徒言行録でのペトロの説教は次のようにはっきりと語っています。「だから、イスラエルの全家は、はっきり知らなくてはなりません。あなたがたが十字架につけて殺したイエスを、神は主とし、メシアとなさったのです」(2:36)と。

◇この世の権力が最もその全貌を現した出来事が主イエスを十字架につけた出来事です。ローマの権力、ユダヤ指導者たち、それだけでなく弟子たちも民衆もその中に加担しました。目に見える力を求める、地上のすべての者が結集して主イエスを十字架につけたのです。しかし、主イエスを十字架につけたこの世の力は、神が主イエスを復活させられたことによって最終的な力となり得ませんでした。その救い主、主イエスがこの世界の真の支配者として私たちの世界に来てくださいました。

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