礼拝説教

2017/06/18

「特別招待」
−聖霊降臨節第三主日礼拝−

 マルコによる福音書1:16〜20
  牧師 古屋 治雄



◇主イエスのガリラヤでの第一番のお働きは、弟子たちをお招きになった出来事でした。 ペトロたちがいつものように漁師の仕事をしていたその日常の中に主イエスは「わたしに ついて来なさい。」と声をかけてお招きになりました。そしてこのペトロたちは不思議に も即座に家族と仕事を残して主イエスに従ったのです。

◇今日の私たちも主イエスに声をかけていただき招かれた者です。そのかたちは いろいろですが、この出会いによって私たちの日常は、それまでの日常と異なるものとな りました。先輩の牧師の中には、伝道者としての召命を受けて、家族の反対に遭った方々 、これまでの仕事を辞める決断をして神学校に行った方々もおられます。主イエスに従う 従い方は皆がそういうかたちをとるわけではありません。主イエスと出会い、受洗し、教 会生活をしながらこれまでにも増して家族のために仕え、仕事にも熱心に向っている人も 大勢います。また福音書の他の箇所には、自分から従いたいと申し出ながらも、主イエス に切実な事情を申し出ると主イエスから「鋤に手をかけてから後ろを顧みる者は、神の国 にふさわしくない」と拒否さ てしまったケースも伝えられています(ルカ9章57節以下)。

◇私たちはともすると、今朝、示されている弟子の招きの出来事を主イエスの招 きに対する応答のあるべきひな形のように捉えてしまう傾向があるのではないでしょうか。 しかしそもそもこの出来事は、「時は満ち、神の国は近づいた」と、宣教の第一声を宣べ られた主イエス御自身が、ただ単に伝道を展開するうえで一緒に活動する弟子たちが必要 だったからではなく、その神の恵みの御支配を現してくださった出来事なのです。私たち からするととても不思議な、しかしペトロたちが呪術にかけられたのではなく瞬時に、自 由な意思をもって従うことができた招きの出来事なのです。

◇ガリラヤ湖で漁師という生業を続けていたペトロたちは、神の恵みの御支配の 中に生きる、新しい時期が到来したことを伝える者とされました。主イエスは今日の私た ちにもこの招きを呼びかけておられます。
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