礼拝説教

2016/6/19

「神の畑の収穫」

ヨハネによる福音書4:27〜42
牧師 大宮  溥



◇イエス・キリストはサマリヤの女に「生きた水」を与えると語り、メシアとしてのご自分を示された。彼女がそのことを同朋に告げに出かけたとき、昼食を手に入れた弟子たちが帰ってきて、それを主イエスに差し出したとき、主は「わたしにはあなた方の知らない食べ物がある」と言われた。

◇これを「肉の糧」と誤解した弟子たちに、「私の食べ物とは、わたしをお遣わしになった方の御心を行い、その業を成し遂げることである」 と教えられた。主イエスは神の世界創造の目標である「神の国」が、人類の堕落によって挫折したのを、十字架と復活の御業によって回復し、神の国の基礎を据えられた。

◇初代教会では「神の国」について、イエス・キリストによって基礎は据えられたが、完成はまだであるという、未来的終末論が一般的であった。それに対してヨハネ福音書は、キリストが地上に来られた時、「神の国」も来たという、現在的終末論を伝えている。「あなたがたは、『刈り入れまでまだ四か月もある』と言っている。目を上げて畑を見るがよい。色づいて刈り入れを待っている」。

◇イエス・キリストは天に昇られたけれども、天から聖霊を下して、人々の内に愛と命と力を注ぎ込み、霊のキリストご自身がわれわれの内に宿ってくださることによって、われわれは、キリストに支配され、神の民として歩むことができる。神がキリストを通して蒔かれた福音の種が、芽生え育って、神の畑の収穫の時が来たのである。

◇このように、イエス・キリストが来られることによって、「神の国」が遠い彼方でなく、今ここに築き上げられ、神の恵みの収穫の時が来たことを、主イエスに会ったサマリアの女、そして彼女の報道によって、サマリヤの町の人たちが知った。今日の礼拝においてわれわれもまたキリストと出会い、「この世はみな、神の世界」(讃美歌21:361)であることを知るのである。
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