礼拝説教

2016/5/22

「愛と自由の神」

ヨハネによる福音書14:6〜17
牧師 大宮  溥



◇聖霊降臨祭の次の主日は「三位一体祭」である。聖霊降臨によって神が三位一体であることが明らかになったことを心にとめ、三位一体を賛美するのである。

◇今日の主日聖書日課は、三位一体の神の存在と働きについて教える、代表的な個所である。「イエスは言われた。『わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない(6節)」。ここに、神と人間を繋ぐのが神の子イエス・キリストであることが示されている。受肉者イエスによって神と人とが直結した。ところが、この絆が十字架の死によって取り去られると聞かされたとき、弟子たちは恐れと不安に陥った。

◇これに対してキリストは、自分が地上から離れるのは、天に帰り、人間のための居場所を用意し、人間を父の許に導くためであると教えられた。人間と連帯して、人間を神と直結するために、天に昇られるのである。人間としてのキリストを生かし、その命をわれわれに注ぎ入れる、その神の命が聖霊である(16〜17節)。このようにして示されている「三位一体」は、三つの「あらわれ」をされる「一人の神」である。

◇アウグスティヌスは、父を「愛する神」、子を「愛される神」、聖霊を「両者に交流する愛そのもの」であると説いた。人間の場合には、愛は自分の外の愛する相手と交流することで、相手に縛られる。ところが神はご自分以外に依存しない自由な存在であるのに、その内部に愛の泉があり、更には、ご自分の一体性の外にまで(御子を通して)その愛が流れ出て、人間が愛の共同体として生きる「神の国」を造ってゆく。

◇この度、聖書協会世界連盟の総会に出て、世界の教会が進展している中で、日本の教会がマイノリティにとどまっている状況を痛感した。しかしこれはユダヤ人社会の中でマイノリティであったヨハネ福音書の教会と似ている。そこからパウロの福音、ヨハネの「愛の共同体」が力強く展開したのである。
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