礼拝説教


2014/7/27 聖霊降臨節第8主日礼拝

「「ソロモンの知恵」

列王記上10:1~13
 主任牧師 大村  栄

 
◇ソロモンは王に就任した際に神に、民を正しく裁くための知恵を求め、それが与えられた。二人の母親と赤ん坊の話(3章)のような知恵の逸話が語り継がれている。そのソロモンの知恵を確かめにシェバの女王が来訪し、その知恵に感服した。

◇日本キリスト教団の東日本大震災救援対策本部では、放射能被害を受けている福島の子供たちを安全な場所に移動させて、体力を回復させてあげるための「短期保養プログラム」を行っている。先週、新潟県の妙高高原YMCAロッジで行われたその「こひつじキャンプ」に参加した。

◇福島のお母さんたちから聞く話しは重かった。原発事故から3年半近く経っても、除染は終わらない、放射能の中で子供を遊ばせたくない。しかし平気で外で遊ばせる家庭もある。それをうちの子はうらやましそうに見ている。子供にこんなに我慢させる必要が、本当にあるんだろうか。親も子もストレスがたまって限界だ。放射能の影響は本当にあるのか。何年も先になって分かるまで、どうしていたらいいのか。何が真実なのか。こういう問いにソロモンならどう答えるのだろうか。

◇シェバの女王はソロモンの知恵を讃えつつ、さらに彼を立てられた神をほめ讃えている。「9:あなたをイスラエルの王位につけることをお望みになったあなたの神、主はたたえられますように。主はとこしえにイスラエルを愛し、あなたを王とし、公正と正義を行わせられるからです」。彼の知恵は神に与えられたもの。知恵を用いて王がなすべきことは、「公正と正義を行う」ことだ。

◇「公正と正義」。それは本来、神が自ら世界を裁かれること。その時が来ることを信じて備えつつ、その時までの地上で「公正と正義」の実現に努めることを、神は人間に託された。

◇しかし世界の最後の「公正と正義」は、神がこれを実現される。最後に神による最善がなされることを信じ、未来の希望を信じて、現在の困難に対応していく。福島のお母さんたちに言えるのはそういうことだけだ。そういう神への根本的信頼の中でこそ、真の知恵が養われると信じる。

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