礼拝説教


2013/7/28 聖霊降臨節第11主日礼拝

「明日への希望」

ヨハネ福音書10:7~18

 

名誉牧師 大宮  溥


◇今年2月米国ワシントンで「全国朝食祈祷会」が開催され、大統領として2期目を始めたばかりのオバマ氏のメッセージがあった。与野党のいずれが勝つかでなく、神の御心が実現する事を信じて、神の言葉に聞きつつ祈りをもって、敬神愛人の社会となるため努めたいと語った。

◇ヨハネ福音書10章には「羊飼い」として歴史を導くイエス・キリストが示されている。「羊飼い」のイメージは王に用いられるが、旧約では、王制に対して肯定と否定の二つの評価があった。イスラエルを治めるのは本来神であり、王は神の支配に仕える限りにおいて、支配者の資格をもつのである。

◇このことは王だけの問題でなく、民全体が、真の羊飼いに導かれる羊の群れとして、神の言葉に聞き従い、「心を尽くして主を愛する」ことが求められているのである。神への愛と隣人愛という「人間と社会の座標軸」を持った、敬天愛人の社会の形成である。日本は絶対専制から民主主義にはなったが、「敬天」が失われて、霊性が枯渇している。この回復が急務である。

◇「わたしはよい羊飼いである。よい羊飼いは羊のために命を捨てる」(11節)。災害の時に人々は「神はどこにいるのか」と問う。十字架のキリストはインマヌエルの神として、現実の苦難と死の中にある我々と共におられるのである。

◇「わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている」(14節)。ヘブライ語で「知る」は理論的であるよりも、人格的関係的である。愛の泉が流れ出すのである。

◇「わたしには、この囲いにいないほかの羊もいる。…羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる」(16節)。世界宣教への展望と呼びかけである。メソジスト教会の創立者ウエスレーは産業革命の担い手たちが疲労困憊している中に出かけて行って伝道し、英国社会の霊的力となった。われわれはその祈りを受け継ぎ日本伝道の使命を果たしたい。

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