礼拝説教


2012/12/16 <待降節第3主日>

「主は近い」

フィリピの信徒への手紙4:2~9

 牧師 大村  栄


◇「4:主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい」。この喜びは感傷的な喜びではない。「3:命の書に名を記されている」ことを喜べと命じる。「命の書」とは、「最後の審判」において開かれる書物(ヨハネ黙示録20:12-15)。洗礼を受け、ここに名が記された者は救われると言う。

◇そのような「主において」喜ぶ喜びを、「4:常に喜びなさい」と言われる。それは自分だけの喜びに終わらず、他者との関係に発展してこそ本当の喜びとなる。「5:あなたがたの広い心がすべての人に知られるようになさい」。口語訳では「寛容」と訳されていた「広い心」の源泉は、神の身分を捨てて僕の身分となられた主イエス・キリストの生涯にある(フィリピ書2:6以下)。

◇それに倣う時、「5:主はすぐ近くにおられます」。口語訳では「主は近い」。だから「6:どんなことでも、思い煩うのはやめなさい」。「思い煩い」は「主は近い」ことを喜ぶ喜びを阻害するものだ。様々な不安があるけれど、自分を捨てて十字架につかれた主がおられる。この主にならって「広い心」を持ちなさい。「7:そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう」。

◇「8:終わりに、兄弟たち、すべて真実なこと、すべて気高いこと、すべて正しいこと、すべて清いこと…それを心に留めなさい」。「すべて真実なこと」の文語訳「およそ真(まこと)なること」は東京女子大学の標語であり、同大出身で元同大教授、今年9月24日に87才で逝去された根岸愛子姉が、自伝のタイトル『およそ真なること-平和への祈り-』(2008年)に用いた。

◇根岸愛子姉の生涯は、そしてキリスト者の生涯は、「真実」なる主イエス・キリストを求め続ける歩みであり、「9:そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます」との平安に生きるものである。その時に私たちは「命の書」に名が記され、「主は近い」との望みに生きる者とされる。クリスマスに始まった「インマヌエル」(神共にいます)の恵みが、そこに極まるのである。

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