礼拝説教


2012/5/27 〈聖霊降臨日礼拝 〉

「 世界に教会が誕生した日」

使徒言行録2:1~13

牧師 大村  栄 


◇弟子たちは復活後の主イエスに「イスラエルのために国を立て直して下さる のはこの時ですか」(1:6)と尋ねた。「イスラエルのために」という閉鎖的民族 主義や、「立て直して下さる」という依存性、「この時ですか」という勝手な時 間設定。主はこれらを否定され、もっと広い世界に、彼ら自身を送り出すと言わ れる(1:7-8)。

◇このように、彼らは派遣されるには不十分であるから、「エルサレムを離れ ず」に(1:4)聖霊を待つようにと言い残し、主は天に昇られた。そしてそこから 10日後の今日、主の約束された聖霊降臨が起こったのである。

◇「1:五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、2:突然、激し い風が吹いて来るような音が天から聞こえ…」。弟子たちは希望に燃えて待機し ていたのではない。故郷に逃げ帰りたいと願うほどの彼らだったが、ただ待って いなさいと命じられた主の言葉によって、恐れながらも待っていた。不安のあま り誰かが「祈ろう」と言って祈っていたかもしれない。

◇「絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい」との年間標語を与えられた が、「根気よく祈る」とは、まさにそういうみじめさの中で心を合わせて祈るこ とかも知れない。そしてそこに聖霊、すなわち神の力が注がれるのである。

◇「4:一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままにほかの国々の言葉で話 しだした」。それがなぜ可能だったかは分からない。しかし前述のように、聖霊 の働きは、人間の常識や判断をはるかに超えるものである。私たちもその聖霊に よる未来の希望を信じて待ちたい。

◇パウロは「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」に続いて、 「わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれてい るから」と語る(ローマ5:3-5)。聖霊を通して注がれる神の愛によって、苦難に も忍耐が出来、練達が与えられ、希望が生じてくる。今日はその聖霊によって 「世界に教会が誕生した日」。教会は神の愛の証しなのである。

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