礼拝説教


2010/2/28 受難節第2主日礼拝

       「わたしたちの戦い」

牧師 大村  栄

エフェソ書6:10〜20  


◇「11:悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい」。エフェソ書はパウロが獄中で書いたと言われれる。目の前の駐留ローマ兵のいかめしい武具に比べて、自分は人間的にはあまりにも無力だ。しかし信仰的には最強の武器を持っていると確信している。

◇教会とキリスト者が「神の武具」を身に着けて戦う相手は何か。「12:わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです」。人間を神に感謝して生きる生活から遠ざけようとする「悪霊」。それが私たちの戦いの相手だ。

◇M・ニーメラー牧師はヒトラーへの抵抗運動により投獄され、強制収容所で終戦を迎えた。彼はその後毎晩のように同じ夢にうなされた。天国の裁きの座で神が自分の背後にいる誰かにこう尋ねている。「お前は何か良きものを携えてきたか」。するとあの聞きなれた声でヒトラーが答える。「いいえ、何も持って来ませんでした。多くの人が私を称賛し、あるいは非難しましたが、誰も私にイエス・キリストの福音について語ってはくれなかったのです」。

◇彼のこの夢の体験を元に、ドイツ福音教会は1945年10月に「シュツットガルト宣言」を発表した。その一部。「我々はナチの権力支配の中にその恐るべき姿を現した霊に抗して、長い年月を通じて戦って来た。しかしながら我々は自らを告発する。我々がもっと大胆に告白しなかったったことを、もっと忠実に祈らなかったことを、もっと喜んで信じなかったことを、そしてもっと燃えるような思いをもって愛さなかったことを」。「悪霊」との戦いにおいて、彼らが充分用い得なかった「武具」は、もっと「愛すること、信じること、祈ること」、そしてもっと大胆に「信仰を告白すること」だった。

◇私たちもその戦いを継続している。しかしこの戦いは「勝ちいくさ」である。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16:33)。キリストの十字架の愛と復活による勝利にあずかるために、私たちの戦いに「神の武具」を身につけて挑もう。

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