礼拝説教


2009/1/25 降誕節第5主日

       「力になりたいから」

牧師 大村 栄

ローマ書1:8−17


◇「15:ローマにいるあなたがたにも、ぜひ福音を告げ知らせたい」。神がキリストを通して人類に与えられた救いを告げる「福音」。それを一人でも多くの人に宣べ伝えるのがパウロの生涯の目標である。「16:わたしは福音を恥としない。福音は、ユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、信じる者すべてに救いをもたらす神の力だからです」。
◇私は戦後の高度経済成長の時代に小さな教会の牧師館に育ち、「福音を恥」とした経験を持つ。当時わが教会は世間の好景気に取り残されていた。周囲と少々違いがある生活をする中で、教会が掲げる「福音」に実力はないと感じた。しかし真実なものを求めて教会に集う人々も少しはいて、彼らの真剣な求めにただ福音をもって応えようとする教会の存在にやがて動かされ、いつか自分も牧師になっていた。
◇そんな時代をとうに過ぎて、今や社会は不景気のどん底にある。失業者が増え、自暴自棄的な凶悪犯罪も増加している。今こそ教会は「福音を恥としない」という姿勢を確立し、「信じる者すべてに救いをもたらす神の力」である福音を宣べ伝えたい。
◇ところで「17:正しい者は信仰によって生きる」とあるが、この時代に「正しい者」がどれほどいるだろうか。悪の町ソドムに「正しい者が10人いたら赦してください」とアブラハムが神に願い、「赦す」と言われたが、その10人がいなかったために町は滅ぼされた(創世記18章)。ローマ書3:10でパウロは「正しい者はいない。一人もいない」と語る。ソドムの10人どころか「正しい者」が一人もいないこの世界に、神はひとり子を差し出して下さり、この唯一まことの「正しい者」の存在を通して、世界の罪を赦し、すべての者に生きる道を示して下さった。ここにパウロの訴えたい「福音」の本質がある。
◇パウロはこの「福音」を一人でも多くの人に伝えたいと願っている。それによって人々の「11:力になりたいからです」。「ユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、信じる者すべてに救いをもたらす神の力」である「福音」。景気がいい時にも悪い時にも、変わらず人を根底で支えるもの。これをもって教会は社会と世界の「力になりたい」。これを信じる私たちが家族や友人、隣人たちの「力になりたい」。
◇「我は誇らん、ただ十字架を、天つ憩いに入る時まで」(辻村克己兄の葬儀で歌った愛唱讃美歌495)。

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