礼拝説教


2008/5/18  聖霊降臨節第2主日

       「信仰の戦いと目標」 牧師 大村 栄

テモテへの手紙一6:11−16


◇この書簡は「牧会書簡」と呼ばれ、伝道牧会に仕えようとする若者への勧めの手紙だ。「11:神の人 (「神に仕える人」)よ、あなたはこれらのことを避けなさい」。「これらのこと」とは直前の「10:金銭の欲」などあらゆる欲望である。それを遠ざけ、替わりに「11:正義、信心、信仰、愛、忍耐、柔和を追い求めなさい」。前の三つは神との関係における徳であり、後の三つは実際生活における徳。どちらか一方に偏ってはいけない。

◇律法の中心である「十戒」は前半5戒が「神に対する義務」、後半が「人に対する義務」だと言われる。主イエスも律法学者に「たくさんの戒めの中でどれが一番大切ですか」と問われて、第一は「主を愛すること」であり、第二は「隣人愛」であると答えた(マタイ22:34-ほか)。信仰生活とは一極集中型の「原理主義」的なものではなく、二つの中心点を持つ楕円形のようなものだ。悪く言えば焦点がぼやけた、少し歪んだものだが、しかしそれゆえに機械的でない、生きた信仰となると言えよう。

◇「敬神愛人」の両方を全うするのは決して容易ではない。「12:信仰の戦い」と言わざるを得ない。しかしパウロは「13:ポンティオ・ピラトの面前で立派な宣言によって証しをなさったキリスト・イエスの御前で、あなたに命じます」と、キリストを仰ぎつつ、この戦いに挑めと言っている。

◇主イエスはピラトの尋問を受けた際に「おまえがユダヤ人の王なのか」と問われて、「わたしの国はこの世には属していない」と答えた(ヨハネ18:33-36)。しかし土俵が違うと言ってその場から立ち去るのではなく、「ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死にて葬られ」(使徒信条)という道を自ら選び取って行かれた。それが神への従順と、独り子を賜うほどに世を愛された神の愛を全うする方法、すなわち「敬神愛人」の歩みだと信じたからである。

◇そしてこの信仰の戦いを戦い抜く目標は、地上におけるいかなる栄誉や繁栄にも勝る「永遠の命」を目標とすることにほかならない。「12:信仰の戦いを立派に戦い抜き、永遠の命を手に入れなさい」と言われる。地上の戦いについては「わたしどもは取るに足りない僕です。しなければならないことをしただけです」(ルカ17:10)と言える者でありたい。

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