2025/12/07「あけぼのの光が訪れている」ルカによる福音書1:67~80 牧師 古屋治雄

◇福音書は救い主イエス・キリストの誕生が新しい光が輝く出来事であったと伝える。マタイ福音書で東方の博士たちは星の光に導かれた。ヨハネ福音書ではイエス・キリストそのものが光であると宣言される。ルカ福音書で主イエスが生まれた夜、羊飼いたちを「主の栄光が周りを照らした」(ルカ2:9)。このルカ福音書では主イエスの誕生に先立ってザカリヤとエリサベトの老夫婦にバプテスマのヨハネが生まれた。ザカリヤは神様が注いでくださったこの「光」を歌う。「幼子よ、あなたはいと高き方の預言者と呼ばれる。主に先立って行き、その道を備え主の民に罪の赦しによる救いを知らせる(略)。この憐れみによって 高い所から曙の光が我らを訪れ暗闇と死の陰に座している者たちを照らし我らの足を平和の道に導く」(1:76-79)と。

◇ザカリヤが生きた時代、ユダヤの民はローマの支配下にあり、ローマと癒着したヘロデ王家が支配していた。ザカリヤが言う「暗闇と死の陰に座している者」はイザヤの預言の言葉でもある。700年前、預言者イザヤはアッシリアに脅かされたユダ王国に、政治的駆け引きより神に聞くよう呼びかけたが、非現実的とされた。イザヤはこの暗闇の中で「闇の中を歩んでいた民は大いなる光を見た。死の陰の地に住んでいた者たちの上に光が輝いた」(イザヤ9:1)と神様による備えを語る。

◇ザカリヤは神様とアブラハムの契約からダビデ契約を見直す示唆を与えられた。今や神様がイスラエルに注いだ確かな憐れみのしるしであるヨハネの誕生により事態が変わったことにそのことが示されている。

◇今日の私たちも日々の生活の中で絶望やむなしさにある。しかし闇に閉ざされ死の不安に塞がれているすべての人々のことを知っていてくださる神様が、恵みと憐れみの光により、私たちの思いを超えて生きる道を切り拓いてくださる。私たちはその光を仰ぎ、主イエスとともに歩もう。